『愛しのタチアナ』『カラマリ・ユニオン』 [cinema_2007]
ユーロスペースはかなり前に移転したが、6月24日、はじめて引越先のユーロに行った。円山町はすごく苦手なタイプの場所だ。前の場所の方が良かった。あと、もぎりのねーちゃんのやる気がなさすぎる。前の場所の時のおねいさんはどうしたんだ。
今回見たのはアキ・カウリスマキ特集の2本。
『愛しのタチアナ』1994年
さえないフィンランド人の男2人が、エストニア人の女性とロシア人のおばちゃんと共に車で旅をする話。「港まで送ってほしいの。もう遅れそうよ」と女性は言うのだが、着くまでには4人で何泊もして、映画が終わるまでに港に着かないのではないかと心配しながら見ていた。コーヒー中毒の男にウォッカばかり飲む男、2人は女達をほったらかしたまま工具店の前で工具談義に耽ったり、本当にどうしようもない。
スクリーンの中では、ひたすら男達がコーヒー/ウォッカを飲み続け、4人でタバコを吸い続ける。合間に少しの言葉。レイノとタチアナの恋も非常にぎこちなく、控えめに展開される。画面の中に居づらそうに収まる2人の姿があり、ロックな生き方を冒頭でまくし立てていたレイノとの対比が際立つ。
ロードムービー、というには余りにも移動している感じが欠けているように思う。同じところをぐるぐる回って、いきなり港に着いていたような印象だ。車内、ホテル、レストラン、船室。室内で顔をつき合わせて特に話もしない4人。外の開放感は稀にしか現れない。
『カラマリ・ユニオン』1985年
自分達の町には居場所がない、とイカ墨同盟の大勢のフランクと1人のペッカが希望の町・エイラへの移住を決意し、行動する話。中心部まで終電後の地下鉄をハイジャックして移動するが、降りた後に運転手だか車掌だかにいきなりピストルで撃たれて1人のフランクが死亡する。そこからもフランクがしょっちゅう撃たれて死ぬ。劇的な盛り上がりは何もなく、唐突に撃たれ、あっけなく死ぬ。
フランクが何人いるのかも、どのフランクが何をしたのかも、全く頭に入らない。そんなことはそっちのけで話は進んでいく。多分頭に入れる必要はないんだろう。閉店後のバーに押し入って勝手に酒は飲む、万引きはする、金持ちマダムの旅行の連れとして持っていかれる、脈絡も何もなくフランク達はやりたい放題やって、時々殺されて、移動していく。それぞれのシーンはバラバラで時間の流れを感じさせず、エイラへ向かっている様子はまるで感じられない。同じところをぐるぐる回っているかのような感覚を覚える。最後唐突に数人がエイラへたどり着くが、時は既に遅く、エイラは工業地帯として汚染されているのであった。生き残ったうちの2人―そもそも生き残ったのが何人なのかも1回見ただけでは分からんが―は諦めずに今度はエストニアを目指し、ボートを漕ぎはじめるところで映画は終わる。
この映画にストーリーを求めてはいけない。1つの総体として理解しようとするから無理が出る(ほんと見てて疲れた)。断片を貼り合わせて作ったもののように見た方が良い。それぞれのシーンの台詞や映像を、そのとき楽しむものだ。そしてそういう映画を私は好まないわけであるのだけれど。手元のアキ・カウリスマキ本によれば、この時期ゴダールの影響を強く受けていた云々とある。冒頭のボードレールとかみショーとかプレヴェールの名前が出たあたりで何かやな予感はしたんだよ。んんー。この何とも言いがたい感じをどう伝えたらいいんだろう?







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